トルコリラ大暴落!!
こんにちは。Money Motto!編集長のみやこです。
トルコリラの大暴落で、大きな打撃を受けた投資家のみなさんも少なくないかと思います。かく言うみやこもそのひとり。保有しているトルコ関連投信の評価金額が、一週間で25%以上下落してしまいました。ここ数日は下げが一服したものの、まだまだ予断を許さない状況です。引き続き、トルコリラの動きに注意を払いましょう。
近年、証券会社やFX会社名などの金融機関は、金利メリットをうたい文句に、新興国の高金利通貨(トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソ、ブラジルレアルなど)の関連商品を積極的にPRしてきました。超低金利の続く日本に比べ、5%~10%以上の金利を得られるこれらの通貨はとても魅力的に映ります。しかし、高金利通貨に投資することは本当におトクなのでしょうか?
本日は、新興国通貨の金利が高い理由と投資する際の注意点をお知らせします。
各国の政策金利をみてみよう
まずは、各国の政策金利を比較してみましょう。政策金利とは、中央銀行が市中銀行にお金を貸すときの金利で、短期金利(1年以下の取引の金利)、たとえば普通預金金利などに影響を与えます。
国名 | 名称 | 金利 |
トルコ | 1週間物レポ金利 | 17.75% |
メキシコ | 翌日物銀行間レート | 7.75% |
南アフリカ | レポ金利 | 6.50% |
ブラジル | Selicターゲットレート | 6.50% |
中国 | 貸出金利 | 4.25% |
アメリカ | フェデラルファンド金利 | 1.75~2.00% |
オーストラリア | オフィシャルキャッシュレート | 1.50% |
日本 | 無担保コール翌日物レート | 0.00%~0.10% |
ユーロ圏 | 市場調整金利 | 0.00% |
スイス | 3ヶ月物LIBOR誘導目標 | -1.25%~-0.25% |
政策金利の高い国は、新興国であることがわかりますね。日本の政策金利はほぼ0%なので、ものすごい差です。
新興国の金利が高い理由
上の表を見て、「やっぱ新興国って魅力的!」とか「これだけ高金利なら、利子だけで生活できるかも!」と思ってしまった方々!それはとても危険な考えです。新興国の金利が高いのには、いくつか理由があります。
大きな理由はインフレです。新興国は、人口増加と所得の向上のため、物価上昇が続いています。物価が上昇すると、金利も上昇します。また、物価上昇によって、お金の価値が下がってしまいます。
有名ブランドのコートを例に考えてみましょう。コートは、世界中で同じ価格で取引されています。日本での販売価格は19万円、トルコでの販売価格は1万トルコリラ(1トルコリラ=19円)です。
つぎに、1年後の価格を考えます。
日本の物価上昇率を0%と仮定すると、1年後の価格も19万円のままです。いっぽう、経済成長率の高いトルコは、1年間に物価が10%上昇すると仮定します。コートの価格は、1万1,000トルコリラになります。1年前には1万トルコリラで買えたものが、1万1,000トルコリラ出さないと買えなくなるので、お金の価値が下がっています。
そして、19万円と1万1,000トルコリラの価値は同じなので、適正為替レートは17.27円となります。なんと、10%の物価上昇率が為替によって打ち消されているではありませんか!
一般的に、自国の物価が上昇すると自国の通貨が安くなり、自国の物価が下がると自国の通貨が高くなります。これを、購買力平価説といい、中長期的な為替レートの変動をみる際に役立ちます。
トルコリラ/円のチャートを見ると、2010年は60円、2015年は45円、現在は19円で、円高トルコリラ安が続いています。金利は高くても通貨が下がる一方なので、ドルコスト平均法が機能せず、保有期間が長いほど損失が大きくなってしまいます(泣)高金利のウラには、こんなからくりがあるのです。
もう一つの理由は、外貨獲得です。新興国は、国内のインフラ整備をおこなうため、海外からの資金を集めたがっています。自己への投資を呼び込むためには、金利を高く設定する必要があるというわけです。
新興国投資の注意点
今回のトルコリラ暴落によって、ほかの新興国通貨でも下落が起こっています。新興国からの資金引き上げが懸念されますが、それに拍車をかけそうな動きがあります。アメリカの利上げです。すでに3月と6月に利上げがおこなわれましたが、今年中に追加利上げが見込まれます。新興国に向けられていたお金がアメリカに回帰するため、新興国経済への打撃はさらに大きくなるでしょう。
しかし、それでも新興国に投資をしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。そんなみなさまにアドバイスをいくつか。
・余裕資金で投資をおこなう
退職金、教育資金、住宅資金など、使いみちの決まっているお金で投資をおこなってはいけません。失敗したときのダメージは計り知れません。投資は余裕資金で。
・新興国関連商品(株・債券・外貨預金・FXなど)の一点買いをしない
新興国経済は、先行きが不透明なのでリスクが高くなります。先進国やREITなどの商品に資産を分散しましょう。複数の新興国に投資しても、分散したことにはならないので要注意!
・新興国関連商品の特徴を知る
新興国関連商品は、購買力平価説から考えると長期投資には適していません。値動きが激しいので、スイングトレードやデイトレードといった短期売買に向いています。あっ、これは投資ではなくて投機ですね。
8月20日から24日まで、トルコはイスラム教の大祭である犠牲祭のため連休に入ります。連休明けに市場でさらなる犠牲が生じないことを願うばかりです。
※本記事は、投資の勧誘や推奨を目的とするものではありません。
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