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受信料契約は義務
こんにちは。Money Motto!編集長のみやこです。
12月6日、最高裁はNHKの受信料制度について「合憲」の判断を示し、テレビ等を持っている人がNHKと受信契約を結ぶことは、法的義務であるとしました。受信者が契約を拒否したとしても、NHK側が訴訟を起こし勝訴判決が確定すれば契約成立となり、受信者はテレビを設置した時にさかのぼって受信料を支払わなければならなくなります。
2016年度末のデータによると、全国の推計受信料支払率(世帯)は78.2%で、5世帯に1世帯以上が受信料を支払っていないといわれています。
合憲判断がされたことで、NHK側は未払者や未契約者からの徴収をより強化すると思われますが、いっぽうで、公共放送や受信料制度のあり方に疑問を持つ人も少なくありません。本日は、受信料制度のしくみや問題点について考えます。
受信料の支払と地域格差
NHKは、国営でも民間企業でもない公共放送という位置づけで、良質な番組を全国の視聴者に届けることを使命としています。そのため、政府や企業からの出資を受けず、運営財源のほとんどを受信料でまかなっています。受信料額は、事業年度ごとに国会承認を経て決定されます。
2017年12月現在の受信料は以下のとおりです(消費税込)。
契約種別 | 支払方法 | 2か月払額 | 6か月前払額 | 12か月前払額 |
衛星契約 | 口座振替 クレジットカード |
4,460円 (4,150円) |
12,730円 (11,840円) |
24,770円 (23,030円) |
振込用紙 | 4,560円 (4,250円) |
13,015円 (12,125円) |
25,320円 (23,585円) |
|
地上契約 | 口座振替 クレジットカード |
2,520円 (2,210円) |
7,190円 (6,300円) |
13,990円 (12,255円) |
振込用紙 | 2,620円 (2,310円) |
7,475円 (6,585円) |
14,545円 (12,810円) |
カッコ内は沖縄県の受信料
受信料制度は公平性を大原則としていますが、受信料支払率には地域差があります。移動の多い地域、単身世帯や集合住宅の割合が高い大都市圏では、支払率が全国平均を下回っています。また、沖縄県はNHKよりも民放の開局のほうが早かったため、「テレビはタダで見るもの」という意識が根強く、支払率は50%にも達していません。
受信料推計世帯支払率 ・全国平均 78.2% 支払率上位5県 支払率下位5都府県 |
受信料とスマートフォン
最近は、若者を中心に自宅にテレビがない人も増えています。しかしNHKは、テレビがなくてもチューナー内蔵パソコンやワンセグ機能付きのスマートフォン、カーナビ等を持っていれば受信料の支払が必要であるとの見解を示しています。
12月6日の最高裁の判断では、テレビ以外の視聴端末の契約義務については言及されませんでしたが、地裁では、ワンセグ機能付きのスマートフォンの所持者には(見ていなくても)受信料の支払義務があるという判断が出ています。別の地裁では受信料の支払義務はないという判断もあり、今後の高裁の判決に注目が集まります。
テレビは番組視聴を目的として購入しますが、スマートフォンやカーナビは、番組の視聴が主目的ではありません。受信できる状態にあるだけで支払義務が発生するという論理は、ちょっと乱暴な気がします。
払わないとどうなる?NHK受信料
現在、受信料を支払っていない世帯は、約1,000万にものぼります(未契約900万世帯、不払100万世帯)。このまま払わずにいるとどうなるのでしょうか。
・不払(滞納)の場合
契約はしているものの受信料を払わない場合は、滞納分を全額請求されます。ただし、受信者の申し出により、時効が成立します(5年)。
・未契約の場合
最高裁が受信契約には法的義務があると判断したため、「契約拒否を理由に受信料を支払わない」という主張は認められないでしょう。テレビ等を設置した時期にさかのぼって支払義務が発生することから、高額な請求をされる可能性もあります。訪問契約(訪問員に契約書を提出)のほか、電話やインターネットでも契約をおこなうことができます。
※未契約の場合は、契約時が時効の起点となるため、過去の受信料債権は消滅しません。
・テレビ等を持っていない場合
自宅にテレビ等がなければ、受信料を支払う必要がありません。訪問員にたずねられた際は、「持っていません」と伝えましょう。
ここがヘンだよ!NHK受信料
インターネットで検索すると、「受信料を払わない方法」「NHK 撃退法」などの情報が多数ヒットします。中には、「オートロックの部屋なら居留守を使う(契約しない)」「テレビがないと言って訪問員を追い返す(NHKはテレビの有無を強制調査できない)」といった具体的な対策も掲載されています。当記事は、受信料の支払回避を指南するものではありませんが、現行の抜け道の多い徴収方法には疑問を感じざるをえません。
海外の公共放送は、電気料金と一緒に受信料を徴収する、テレビ等の有無にかかわらず全世帯から受信料を徴収する、税金として徴収するなどの方法を採っています。今回の合憲判断を契機として、NHKには国民の理解を得られる時代に合った徴収方法を模索してほしいものです。
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