混合診療が広がるリスク(後編)/保険が無意味になる!?

困っている女性

混合診療が拡大すると民間保険はどうなる?

 

前回の記事では、「患者申出療養制度」について記載しました。

多少のメリットはあるものの、公的保険でまかなえる医療が減少するリスクもはらむ制度ということでした。

 

ではこの制度が浸透していくと、民間の医療保険はどう変化していくでしょうか。

仮定の話ではありますが考えてみたいと思います。

 

混合診療と保険の関係

 

まず日本の民間医療保険は、公的保険に加入していることを前提として作られています。

公的保険に加入してさえいれば、例えば10万円かかる治療でも7割の7万円が保障され、窓口での支払いは3万円で済んでしまいます。

 

さらに高額療養費制度もあるため、大掛かりな手術をして数十万円の治療費がかかったとしても、自己負担は一般の人であれば8万円程度に収めることができます。

民間の医療保険で、ここまで手厚い補償をしてくれる商品は存在しません

 

では、民間の医療保険のよくあるカタチはどのようなものか、具体的に見てみましょう。

 

保険会社 A社
保障内容 日額1万円(入院時)、10万円(手術時)、0円(通院時)
保障期間 終身

保険会社によって多少の違いはありますが、上記のような内容が現在の医療保険で主流のものとなります。

個室を利用したい人の差額ベッド代や、入院時の食事代、日用雑貨の購入費用などを使用用途として想定しているのでしょう。

 

さて「患者申出療養制度」が成立したことにより、10年後、20年後、日本でも自由診療となる治療が増えてしまう可能性が出てきました。

そうなった場合、ちょっとした手術でも自己負担が100万円以上になるかもしれません。

 

自由診療に対応していない医療保険は、役に立たないとは言いませんが、保障としてほとんど意味のない存在となってしまうでしょう。

 

今のところ自由診療に対応している保険商品は損保系の会社で、それもがんに特化しているものしかありませんが、今後は自由診療に対応した医療保険がつぎつぎに開発されていくと予想されます。

 

「終身型の医療保険に加入してあるから安心」と思っている人でも、日本の状況変化を考慮すると、切り替えが必要になるでしょう。

定期的な見直しは必須です。

 

しかし、自由診療に対応した医療保険はいつ販売されるのか、複数の保険会社の商品のなかで適したものはどれか、特約をどう付加すればよいのかなど、自分で情報を追っていくのはなかなか難しいと思います。

 

そんなときには、FP(ファイナンシャル・プランナー)を利用するのもオススメの方法です。

信頼できるFPと付き合いがある人は、保険の見直しや情報収集のために、定期的にコンタクトを取るのも良いかもしれません。

混合診療の拡大が行き着く先 ~アメリカの惨状~

 

自由診療が進んだ例として、先進国で最悪と言われるアメリカの医療の状況を紹介します。

実際にどのくらいの治療費がかかってしまうのか、外務省のWEBサイトを見てみます。

*以下、1ドル110円で計算

 

盲腸による入院  ※手術後に腹膜炎を併発(8日入院) 70,000ドル(7,700,000円)
貧血による入院(2日入院) 20,000ドル(2,200,000円)
骨折による入院手術(1日入院) 15,000ドル(1,650,000円)

すさまじい金額ですね…。

さらにここでは実際の請求書を見ることができますが、やはり135,007ドル(14,850,770円)、407,643ドル(44,840,730円)など、信じられないような金額が並んでいます。

 

この金額を見て「アメリカでは病院に行けないのでは?」と感じる人もいるでしょうが、事実、アメリカでは毎年40,000人を超える人が、お金を払えないため治療を受けられず亡くなっているようです。またアメリカで自己破産する理由の6割は、莫大な医療費の請求によるものだとも言われています。

 

まさに「惨状」と呼べる状況ですが、アメリカには国が運営する公的保険が存在しないこともその要因の一つです。

大きな議論となった「オバマケア」は、日本のように公的保険を設立したわけではなく、最低限の民間保険への加入を強制させたものにすぎません。

 

このような状況ですから、国民は自分の命を守るためにより良い民間の医療保険に加入しています。

しかしその保険料は一家族で月々1,000ドル(110,000円)ほどもする上、この高額な金額を払ったとしても、治療を受けるには保険会社の許可がいちいち必要で、保険金の給付を受けるのもかなり大変だと聞きます。

 

高額な治療を受けさせるかどうか、その保険金を支払うかどうか、保険会社のさじ加減しだいのようですが、アメリカの保険会社が莫大な利益を出していることと関連はあるのでしょうか。

 

また仮の話ですが、日本も似たような状況になってしまったら、高いレベルの医療を受けたい人は民間の医療保険に加入せざるを得なくなります

 

ちなみに、かつて国に混合診療の解禁を強く迫っていた規制改革会議には、大手生命保険・損害保険会社も名を連ねており、会議の中では「高度医療を受けたければ、家を売ってでも医療を受ける選択をする人もいる」という発言もあったようです。

終わりに

 

日本の公的保険制度がいかに奇跡のような存在であるか、保険に関わる仕事に就くまではわかりませんでした。

民間の医療保険に加入する必要なく、ここまで高度な医療を受けられる国はそうありません

 

ただそんな世界に誇れる制度も、財政破綻の危機にあります。

現行の後期高齢者医療制度を改革する、救急車を有料にする、深夜の診療は割増料金とするなど、多少の痛みを伴っても、国民全員の努力で維持していかなければいけません。

 

また混合診療に関する問題についても、頭のスミに置いておいて欲しいと思います。

これを推し進めようとしているのはどの政治家か、どの保険会社か、そしてその理由は何か。

みなさんも危機感を持って日々のニュースを追って欲しいと願います。

(あべし)

※本記事は2016年6月17日現在の情報をもとに作成しています。


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