2015年10月に兵庫県がはじめた自転車保険の加入義務化ですが、東京都でも2020年4月から義務化がスタートするようです。さて、あなたの住んでいる自治体はもうはじまっていますか?
こんにちは、平日は子供を乗せて自転車で保育園の送迎をしている、Money Motto!編集部のいっしーです。子供を自転車に乗せるときってふらふらして危ないんですよね。走行中も急にハンドルを切ればバランスを崩しますし、周りの人にぶつからないかいつもヒヤヒヤしながら乗っています。
もし保育園の送迎のときに誰かに自転車でぶつかって大きなケガを負わしてしまったら・・・そうだ!そんなときのために自転車保険があった!
ということで、今日のテーマは自転車保険の加入義務化についてです。
「聞いたことがあるけど内容がいまいちわからない」「初めて聞いた」という人のために、いまさら聞けない自転車保険の加入義務化の内容をコッソリ教えたいと思いますので、ぜひ知らない人にも教えてあげてくださいね。
自転車保険加入義務化の内容
自転車に保険を掛けるなんて、自動車保険(車)じゃあるまいし、そこまで危ないと思ったことがない人も多いかもしれませんね。しかし、街中では大きな事故に繋がっているケースも頻繁に起きているんです。
そこで、なぜ自転車保険の加入義務化になったのかその背景と、対象となる地域や人、罰則についてなど、まずは基本的な内容について一緒にみていきましょう。
自転車事故で1億円の賠償責任も!?
自転車に乗っていて1億円も払うことになるなんて、もしかしたら想像できないかもしれませんね。しかし、実際にこのような大きな金額を支払うことになった事故も発生しているんです。
次のデータをご覧ください。
裁判所・判決日 |
事故の概要 |
賠償金額 |
神戸地裁:平成25年7月4日 |
当時、11才の男児が夜、自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行していた62才の女性と正面衝突。女性は、頭の骨を折るなどし、意識が戻らない状態となった。この判決が裁判所から出たとき、おおむね12歳未満の未成年者が他人に損害を与えた場合は責任能力がないとみなされ賠償責任が問われないのが慣例だったにもかかわらず、高額な賠償額であること以外に、子供が起こした事故について母親に出された支払い命令であることが大きく報じられ話題に。 |
9,521万円 |
東京地裁:平成20年6月5日 |
当時、男子高校生が昼間の時間帯に、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断中、対向車線を自転車で直進していた24才の男性会社員に衝突。衝突をされた男性会社員には言語機能の喪失などの重大な障害が残った。 |
9,266万円 |
東京地裁:平成15年9月30日 |
男性が夕方の時間帯にペットボトルを片手に持ってスピードを落とさずに下り坂を走行して交差点に進入、横断歩道を横断中だった38才の女性と衝突。女性は脳挫傷などで3日後に死亡。 |
6,779万円 |
東京地裁:平成19年4月11日 |
男性が昼間の時間帯、信号無視をして速いスピードで交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中だった55才の女性と衝突。女性は頭蓋内損傷などで11日後に死亡。 |
5,438万円 |
東京地裁:平成26年1月28日 |
男性が昼間の時間帯、信号無視をして赤信号で交差点を直進し、青信号で横断歩道を歩行中だった75才の女性に衝突。女性は脳挫傷などで5日後に死亡。 |
4,746万円 |
このように、日常生活のちょっとした不注意が大きな事故を引き起こし、被害者だけでなく高額な賠償金の支払いを命じられた加害者や加害者家族の人生をも狂わせてしまうものになるということを絶対に忘れてはいけません。
自転車保険は、このような高額な賠償事故に備えて加入する保険です。では、自転車保険の加入義務化の対象となっている地域や人はどうなっているのでしょうか。
対象となる地域や人は?
国土交通省が2018年12月に発表している資料によると、加入義務となっている都道府県は6ヵ所(埼玉県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鹿児島県)で、政令市は5ヵ所(さいたま市、相模原市、名古屋市、京都市、堺市)となっています。また、加入義務ではなく「努力義務」としているところは都道府県で10ヵ所、政令市で3ヵ所あり、現在も少しずつ増えていっています。
出典:国土交通省自転車活用推進部「自転車損害賠償保険の加入促進について」(PDF)
対象となる人は、①自転車に乗る人②保護者(自転車に乗る人が未成年者の場合)③仕事で自転車に乗る人④自転車を仕事で貸す業者、の4つです。
あなたがもし自分が住んでいない地域を自転車で走行するとしたら、その地域が義務化対象地域の場合はどうなるのでしょうか?自治体によってはこの場合も対象となる場合がありますので注意が必要です。
実は罰則はない
自転車保険の加入義務化に罰則はありません。自転車事故を起こしたときに自転車保険に加入していなかったからといっても、それ自体に罰則はないんです。ただし、罰則がないからといって加入せずに事故を起こしてしまったら大変です。
高額な賠償事故は気をつけていても起こしてしまうこともありますので、自転車に乗ることがある人は必ず自転車保険を検討しておきましょう。
どんな自転車保険に加入すればいいの?
では、自転車保険とはどのようなものなのでしょうか?自転車保険とは、自転車事故を起こしてしまったときの被害者に対する賠償責任に対する備えに加えて、自転車事故でケガをしてしまったときの入院や通院の備え、死亡したときの備えなど自分がケガをしたときの備えをセットにしたものが一般的です。
では、そのほかにどのようなポイントがあるのか、特に大切なポイントを2つ見ていきましょう。
示談交渉サービスのあるものを選ぼう
示談交渉サービスとは、保険金を支払う法律上の賠償責任が発生した場合に、保険会社が被害者側と示談交渉をしてくれるというものです。
示談交渉サービスのない契約の場合、被害者とすべての交渉を自分で行わなければいけなくなりますので大変です。被害者側との円満な解決のためにも、示談交渉をプロに任せることができる「示談交渉サービス」のあるものを選びましょう。
個人賠償責任補償は家族全員が対象になるもの
自転車保険のメインとなる補償のひとつが個人賠償責任補償です。これは、他人のものを壊してしまったり、ケガをさせてしまったとき(死亡も含む)の損害賠償を補償するもので、補償の対象となるのは本人だけではありません。一般的には次のような人が補償の対象となります。
1:記名被保険者 |
2:記名被保険者の配偶者 |
3:記名被保険者またはその配偶者の同居の親族 |
4:記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子 |
5:記名被保険者が未成年者または責任無能力者の場合は、親権者、その他の法定の監督義務者および監督義務者に代わって記名被保険者を監督する方(記名被保険者の親族にかぎります)。ただし、記名被保険者に関する事故にかぎります。 |
6:2から4までのいずれかの方が責任無能力者の場合は、親権者、その他の法定の監督義務者および監督義務者に代わって責任無能力者を監督する方(その責任無能力者の親族にかぎります)。ただし、責任無能力者に関する事故にかぎります。 |
※詳しくは各保険会社のホームページなどでご確認ください
このように、個人賠償責任補償の補償対象となる人は広い範囲にわたりますが、保険会社や商品によってはこの対象の範囲が限定的なものもありますので、もし加入する場合には家族全員が対象となるものを選ぶといいでしょう。
では、本当に誰もが自転車保険に加入しなければいけないのでしょうか?
新たに加入しなくても大丈夫な場合
実は、新たに自転車保険に加入しなくても大丈夫な人もいるんです。それは次の5つのパターンのどれかに当てはまる人です。
家族の誰かが個人賠償責任補償に加入している場合
これは先ほどもお伝えしましたが、家族の誰かが個人賠償責任補償に加入していて、あなたがその対象に含まれている場合です。この場合、新たに自転車保険に加入しなくても、万が一のときは家族が契約している個人賠償責任補償でカバーすることができます。
ただし、別居の未婚の子が結婚した場合などには補償の対象から外れてしまいますので、結婚のタイミングで補償の対象かどうかをあらためて確認して、必要なら自身で加入したほうがいいかもしれませんね。
加入している損害保険の特約に個人賠償責任補償がついている場合
個人賠償責任補償は、損害保険に特約としてついている場合があります。特に自動車保険、火災保険、傷害保険のどれかに加入している人は一度補償内容を確認してみるといいでしょう。
基本的には、どの損害保険についているものも補償内容に変わりはありませんが、中には補償の対象となる人を限定していることがあるので、必ず確認しておきましょう。また、示談交渉サービスがついていないものや、ついていても用途が限定されているものもありますので、そういった場合は補償の見直しも検討してみるのもいいかもしれませんね。
※詳しくは各保険会社のホームページなどでご確認ください
共済に特約で個人賠償責任補償がついている場合
損害保険ではなく、共済にも個人賠償責任補償が特約でついている場合があります。この場合も、補償の対象となるのは誰か、示談交渉サービスはついているかなどを確認しておきましょう。
ちなみに、安いからと何本も共済に加入しているという人は、個人賠償責任補償も複数かぶっていることがありますので、保険料の節約のためにも一度保障(補償)内容を確認しておくといいかもしれませんね。
TSマーク付帯保険に加入している場合
TSマーク付帯保険とは、自転車安全整備士が点検確認した普通自転車に貼付されるTSマークに付帯された保険で、傷害保険と賠償責任保険が補償として組み込まれています。青色マークは1000万円まで、赤色マークは1億円までの損害賠償を補償していて、補償期間はTSマークに記載されている日から1年間です。
クレジットカード付帯の保険に個人賠償責任補償がついている場合
クレジットカードを持っている人は、個人賠償責任保険がサービスでついているかどうか確認してみましょう。無料で自動付帯されているものもあれば、わずかですが保険料負担の必要なものもあります。
ただし、示談交渉サービスがついていないものもありますので、必ず補償内容を確認しておきましょう。個人的にはクレジットカードに無料でついているものが一番お得な感じがしますが、残念ながら私の持っているクレジットカードには無料でついているものはありませんでした(涙)
では、個人として自転車に乗るのではなく、仕事で自転車に乗る人はどうなるのでしょうか?
仕事で自転車に乗っている人はどうなるの?
最近では、副業で食べ物の出前を自転車で行う人も増えてきていますよね。そんな人たちは自転車保険に加入しなければいけないのでしょうか?
事業者は施設賠償責任保険に加入しよう
一般的には、自転車を使った事業者は万が一の自転車事故のために(そのほかの事故も含みます)施設賠償責任保険という損害保険に加入する必要があります。社員やスタッフが自転車事故を起こしてしまったとき、個人だけではなく会社としても責任を負うことになる場合がありますので、事業者は必ず施設賠償責任保険に加入しておきましょう。
最近よく街中で目にする黒い大きなリュックを背負った自転車の出前で有名なUber Eats(ウーバーイーツ)も、全スタッフを対象にした賠償責任保険と傷害保険がセットの保険に加入しています。
自転車は自動車の仲間である「軽車両」という部類に分けられることを知っていますか?自転車事故は自分が気を付けていても起きてしまうことがあります。しかもそれは高額な賠償金の支払いにつながる可能性もあります。
個人で自転車に乗る場合も、仕事で使う場合も、万が一のことを考えることも大事ですが、一番は安全に気を付けることが一番ですよね。Money Motto!をご覧の皆さんは、これからも安全で楽しい自転車ライフを楽しんでくださいね。
※本記事は2020年1月現在の情報をもとに作成しています。
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