10月から株の売買単位が100株に統一
こんにちは。Money Motto!編集長のみやこです。
10月1日(月)から、株式の売買単位が100株単位に統一されます。これによって、「株を買いたいけれど、資金不足であきらめた」「売買単位の確認がめんどう」「値がさ株なのでNISAが使えない」といった、株式投資をしたことがある人なら一度は経験しそうな悩ましい問題が、だいぶ解消されそうです。
本日は、株の売買単位の統一によって投資家にどのような影響があるかをみていきます。
売買単位とは?
売買単位とは、株の売買をする際の最低株数のことで、銘柄ごとに決まっています。
たとえばトヨタ自動車株の売買単位は100株なので、購入に必要な資金は、
6,816円×100株=681,600円 となります。
2007年10月には、売買単位が8種類(1株・10株・50株・100株・200株・500株・1,000株・2,000株)もありましたが、2014年4月に100株と1,000株の2種類に集約され、2018年10月からは100株単位のみになります。売買単位がバラバラだと購入に必要な金額がわかりにくく、誤発注につながるおそれもあります。売買単位の統一により、利便性が大きく向上します。
売買単位の統一で変わることとは?
これまで売買単位が1,000株だった銘柄は、10月1日までに変更がおこなわれます。
・変更例1 住友不動産【8830】 変更前:3,841円×1,000株=3,841,000円 売買単位が10分の1になることから、購入に必要な資金も10分の1になります。 |
売買単位が変更されるだけでなく、同時に株式併合がおこなわれるケースもあります。
株式併合とは、複数の株を一つにまとめることです。10株→1株、2株→1株、5株→1株など、銘柄によって併合の割合が異なります。10株→1株に変更する場合、株価は10倍になります。
・変更例2 富士通【6702】 10株→1株の株式併合 売買単位が10分の1になりますが、10株で1株に変更されるため、購入に必要な金額は維持されます。 |
・変更例3 日立製作所【6501】 5株→1株の株式併合 売買単位が10分の1になりますが、5株で1株に変更されるため、購入に必要な金額は半分になります。 現在、1,000株保有している場合、変更後には株価と保有株数が変わりますが、価値に変化はありません。 |
売買単位が100株単位になると、少ない資金で株を購入できるようになるため、投機的な売買が増える可能性があります。 また、株主数が増えると、企業の管理コストもかさんでしまいます。 株式併合によって購入に必要な金額を調整することで、株価に大きな影響が出ないようにしているのです。
これから売買単位の変更(株式併合も含む)をおこなう企業は100社以上あります。
日本取引所グループ 売買単位の統一
売買単位の統一によるメリット
売買単位が統一されることで、投資家には以下のようなメリットがあります。
・株式市場に資金が流入しやすくなる
購入に必要な資金が少なくなることで、個人投資家が株を買いやすくなります。たとえば、上記の住友不動産は、購入に必要な資金がこれまでの10分の1で済みます。資金流入が増えると流動性も上がるため、株価にプラスの効果をもたらします。
・NISAを利用しやすくなる
年間120万円までの投資金額に対する配当金や譲渡益等が非課税になるNISA。売買単位の変更によって、NISAの利用枠に収まる銘柄が増えます。
売買単位の統一と今後の展望
売買単位が統一されるまでには、10年を超える長い年月を要しました。2017年10月には、売買単位が100株の銘柄は全体の35.6%にすぎなかったので、多くの企業が売買単位の変更を求められたことになります。
こうした対応の背景には、「貯蓄から投資へ」という流れを加速させたい国の思惑があります。東京証券取引所は、個人投資家が投資をしやすくするために、5万円以上50万円未満の投資単位にするよう上場企業に働きかけています。売買単位の変更により、多くの銘柄を5万円以上50万円未満の資金で購入できるようになります。しかし、購入に100万円の資金を必要とする値がさ株もまだ多く存在します。
日本取引所グループのサイトには、「既に100株単位となっている会社が、投資単位を引き下げるための方策としては、株式分割を実施することが考えられます」という記載があります。売買単位の統一の次には、値がさ株の株式分割という動きがあるかもしれません。
※株価は、2018年9月3日の終値に該当する価格を掲載しています。
※本記事は、証券会社への口座開設および上記上場企業への投資について、勧誘や推奨を目的とするものではありません。
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