セルフメディケーションとは?
皆さんは「セルフメディケーション」という言葉をご存知ですか?
WHO(世界保健機構)ではこれを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義していますが、その支援の一環として、2017年に日本に新たな制度ができました。
それが、「セルフメディケーション税制」です。
ごくごくカンタンに言うと、一定の条件を満たした場合、購入した薬代の一部が戻ってくる制度です(還付申告が必要です)。
今回の記事ではこの制度についてまとめましたので、確認してみてください。
国は税金の徴収は強制的に行いますが、節税や減税につながるお得な制度については、自発的に行動しなければ還元されることはありません。
用意されたシステムはもれなく利用できるように、しっかり知識をつけておくことをおすすめします。
◇ 対象となる人
下記の3つの条件、すべてに当てはまる人が対象となります。
① 所得税、住民税を納めている
② 該当年(1~12月)に、健康の維持増進および疾病予防のために一定の取り組みを行っている
③ 該当年(1~12月)に、対象となる医薬品を12,000円以上購入している(扶養家族分を含む)
◇ 一定の取り組み
前項であった「一定の取り組み」とは、以下のいずれかを受けることを指します。
・特定健康診査
・予防接種
・定期健康診断
・健康診査
・がん検診
会社員であれば、基本的に健康診断や予防接種などが行われますから、ほとんどの人が該当すると思います。
フリーター、契約社員や派遣社員の人、年金生活者などの場合は、受診していない人がいるかもしれません。
注意してください。
◇ 実施期間
施行日は、2017年1月1日。
期間は、2026年12月31日までとなっています。
セルフメディケーション制度には、通院を減らして、高騰を続ける医療費に歯止めをかける狙いもあると言われています。
期間内の状況を見て、医療費の削減に一定の効果が認められれば、終了期間は延長されると思われます。
反対に、これといったメリットが見受けられなければ、当初の期限で終了するかもしれません。
◇ 対象となる医薬品
医療用医薬品から転用された成分を含んだ、OTC医薬品が対象となります。
2018年10月30日時点で85成分。
これらの成分を含んだ薬を購入するときには、忘れずにレシートを保管しておきましょう。
成分は追加や削除が行われる可能性がありますので、詳細は厚生労働省のWEBサイトを確認ください。
具体的な商品名についても、厚生労働省のWEBサイトに一覧が載っています。
2018年12月25日時点で1,710品目ありますが、認定の追加や取消がなされることがあります。
ちなみに、この制度の対象となる薬かどうかをいちいちチェックしなくても良いように、OTC医薬品のパッケージに識別マークがついています。
識別マークで対象商品であるかどうかの判別ができますが、マーク表示には法的義務がないため、商品によっては表示がなされないかもしれません。
その場合でも、購入したのが対象商品であればレシートに記載がされますので判別は可能です。
◇ 具体的な税金の戻り金額
では具体的にどのくらい税金が戻ってくるのか、シミュレーションしてみましょう。
日本の所得金額の中央値が442万円(2017年 国民生活基礎調査の概況による)なので、それに合わせて所得税10%、住民税10%で計算します。
セルフメディケーション税制では、購入したOTC医薬品について12,000円を超えた額が所得から引かれ、課税対象から減額されます。
単身者のケース
購入金額:20,000円と仮定
・納める所得税 (20,000円 – 12,000円)× 所得税率10% = 800円
・翌年の住民税 (20,000円 – 12,000円)× 住民税率10% = 800円
戻ってくる(減税できる)金額は、合計で1,600円になります。
世帯のケース
購入金額:40,000円と仮定
・納める所得税 (40,000円 – 12,000円)× 所得税率10% = 2,800円
・翌年の住民税 (40,000円 – 12,000円)× 住民税率10% = 2,800円
戻ってくる(減税できる)金額は、合計で5,600円になります。
シミュレーション結果を見ると、もしかしたら期待したほどには戻ってこないという感想を持たれるかもしれませんね。
終わりに
すでに存在する医療費控除は、OCT医薬品以外のすべてが対象となるうえ、通院にかかった交通費なども含むことができます(医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか選択制です)。
そのためセルフメディケーション税制については、イマイチ使い勝手が悪いとの批判も聞かれます。
意見としてはその通りだと思いますが、こういった制度を知識として得ておくことは大切です。
たとえ少ない金額であっても、自分の税金はしっかりと取り戻しておきたいものです。
(あべし)
この記事が気に入ったら いいね♪
この記事が気に入ったら
いいね♪
MoneyMotto!の最新情報をお届けします