値上げラッシュの2022年
こんにちは。Money Motto!ライターのトリです。
2022年、燃料価格の上昇や記録的な円安、コロナ禍によるモノの供給不足などにより、さまざまな商品やサービスが相次いで値上げされています。
帝国データバンクの調査によると、7割弱の企業が2022年4月以降に値上げをした/もしくはする予定とのことです。
特に生活に欠かせない食品業界では、8月に2400品目、10 月には6000品目以上が値上げを予定しています。
「チロルチョコ」が29年ぶりに値上げ(20円→23円)に、そしてあの「うまい棒」も42年の歴史で初の値上げ(10円→12円)という事態。
最近の値上げラッシュで家計が圧迫されていると感じる機会が増えたのではないでしょうか。
値段は同じでも中身が少ない
値上げを発表する企業がある一方で、値段を据え置いたまま内容量を減らして販売を行っている企業やメーカーもあります。
最近、チーズが小さくなった、ハムの枚数が減った、お菓子の量が減ったと感じることはありませんか。
食品だけにとどまらず、洗剤や石鹸などの日用品もここ数年で内容量が減っている傾向がみられます。
パッケージはそのままで内容量の表記だけを変更することもありますが、「スリムパックで便利」「おいしくリニューアル」などのキャッチコピーを使い、大幅に内容量を減らして販売している場合もあります。
これらは値上げの発表がなく、数年かけて段階的に商品変更が行われるため、私たちが気づきにくいのかもしれません。それが今年になって内容量が減ったことが顕著になってきました。なんだか、もやもやするという消費者も増えています。
企業やメーカー側も私たち消費者の節約志向が強まり、値上げに抵抗感を持たれることを考慮しての苦肉の策なのでしょうか。
気づきにくいステルス値上げ
内容量が減っても値上げしない。一見すると値上げよりは負担にならないのではないかと感じることもあるでしょう。
しかし、実際は違います。例えば、500gで500円だった商品の内容量を50g減らし、450gを500円で販売したとします。今までは100gあたり100円で購入できていたものが、100gあたり111円になります。実質11円の値上げということです。
一度に減量されるのは1枚(1個)や50g、100mlと少量の場合が多いようですが、数年かけて10枚、150gと大幅に減っている商品もあります。先ほどの例で500gが段階的に減らされて、330gになったら100gあたりの価格は151円、約1.5倍にもなります。
これらは、価格が変わっていないため、ステルス値上げやサイレント値上げと言われています。
意識をしていないと、月の食費を決めていても量が足りないので、追加で買うことが増え、予定額をオーバーしてしまうという問題が発生してしまうこともあるでしょう。このステルス値上げは家計にじわじわとダメージを与えることになります。
イギリスではシュリンクフレーションと呼ばれている
この値上げはせずに容量を減らして販売することは、日本だけではなく、イギリスでも行われています。
イギリスではこの現象を「シュリンクフレーション(shrinkflation)」と呼んでいます(※shrink(縮む)とinflation(インフレ)を掛け合わせた造語)。
年々内容量の減少が顕著になり、消費者からは不満が続出。
これを受けて、複数の消費者団体が「価格を上げないかわりに内容量を減らすことは消費者を欺く行為だ」と、メーカーや小売店を強く非難する事態となっています。
求められる企業の誠実さと消費者の理解
内容量を減らして販売することは、企業やメーカーの「製造コストは上昇しているけれど、販売価格を引き上げて消費者の反発を招きたくない」という考え方から発生したものかもしれません。
値上げができないのであれば、量を減らすか品質を落とすという選択にならざるを得ないのでしょう。
値上げに踏み切ることで、売上が大きく減ることも懸念されます。
実際に、リーズナブルな価格で圧倒的な支持を得ていたユニクロが2014年~2015年に製品価格を引き上げた際に、大きな客離れを招きました。
とはいえ、2017年にもヤマト運輸や鳥貴族などは約30年ぶりに値上げに踏み切っており、各企業はここ20年以上、消費者の要望に必死に応えようとしてきたのかもしれません。
今後も原材料の高騰や人材不足は続くと考えられます。
根拠のない値上げや便乗値上げはよくありませんが、企業努力を精一杯した上での値上げについては、誠実な方法で、消費者に伝えることも必要になってくるのではないでしょうか。
また、私たち消費者も製品やサービスにかかるコストについて理解すること、価格以上の過度なサービスや便利な包装などを求めないなどの行動を改める時期にきているのかもしれません。
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