総務省の家計調査にみる貯蓄額
皆さん貯蓄はどれくらいありますか?
頑張って貯めている人もいれば、ついつい使ってしまってなかなか貯蓄ができない人もいて、いろいろですよね。
もちろん、必要な貯蓄額は各家庭によって違いますので、いくら貯蓄があればいいのか一律で語れませんし、他人との比較も必ずしも意義があることではありません。しかし、わが家の貯蓄が周りと比べて多いのか少ないのか、正直ちょっと気にはなります。
ということで、今回は統計データから家庭の貯蓄状況を探ってみましょう。
参考にするデータは、総務省の家計調査報告(2019年)の貯蓄・負債編です。
このなかから今回は二人以上世帯についてみていきます。
一世帯あたりの貯蓄現在高(平均値) 1,755万円
2019年は前年に比べて、3万円増えています。金額は小さいとはいえ、3年ぶりの増加となりました。
貯蓄額の平均が1,755万円と聞くと、「みんなそんなに貯蓄しているの?」と正直面喰ってしまいます。しかしこれは平均ですので、一部の貯蓄額が大きい人に数字が引き上げられてしまう傾向にあります。実際、約3分の2(67.9%)の世帯では貯蓄額が平均を下回っています。
ここで少し話がそれますが、平均値の偏りについて簡単な例をあげてみましょう。
A、B、C、D、Eの5人の貯蓄額が下記表のようになっていたとします。
例 A~Eさんの貯蓄額 (単位:万円)
Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん | 平均値 | 中央値 |
350 | 450 | 500 | 800 | 2,000 | 820 | 500 |
この場合、5人の貯蓄額の平均値は820万円となります。しかし、この平均値は1人だけ極端に貯蓄が多いEさんによって引き上げられたもので、残りの4人は平均以下となっています。通常、平均と聞くとなんとなく全体の中間にあたる数字というイメージを持つと思いますが、そのイメージとは少し違った結果になっています。
一方、平均と同じように中間的な数値を表わすものに、中央値があります。中央値は、数値をその大きさで順番に並べた時にちょうど真ん中にくる値を指します。上記貯蓄額の表でいえば、3番目のCさんの500万円が中央値です。
このような貯蓄額などの場合は平均値よりも中央値の方が、中間をあらわすデータとしては実態に近いケースがあります。
それでは、本題に戻ります。
貯蓄がある二人以上世帯の貯蓄額の平均値は1,755万円でしたが、中央値は、1,033万円です。やはりかなり額が低くなります。
貯蓄なしの世帯を含めた場合の中央値は、967万円(参考値)でした。
また、比較的資産の多い高齢者世帯を除くために、世帯主が会社員や公務員などの勤め人である勤労者世帯に限定すると、貯蓄額の平均値は1,376万円、中央値は801万円です。年代によって差はあると思いますが、一般の現役世代の貯蓄額としては、この金額ならなんとなく納得感はありそうです。
次にこの貯蓄の内訳を見てみましょう。
貯蓄の内訳
二人以上(勤労者)世帯の貯蓄の内訳は下記のようになります。
貯蓄の内訳
金額(万円) | 構成比(%) | |
預金 | 427 | 31.0 |
定期預金 | 438 | 31.8 |
生命保険など | 300 | 21.8 |
有価証券 | 150 | 10.9 |
金融機関外 | 61 | 4.4 |
いちばん多いのは定期預金438万円、次に一般の預金427万円となっています。
生命保険などというのは、養老保険、学資保険のような貯蓄性の高い保険となります。
「貯蓄」というと、いわゆる貯金をイメージする方が多いと思いますが、この調査の貯蓄にはこのような生命保険や株式や投資信託も含まれています。そうなると800万円くらいというのもより現実感が増してきます。
はじめに貯蓄額の平均が1,755万円と聞くと、本当にそんなに多いの?という気がしますが、このようにデータを詳しく見ていくと、実態に近づくことができます。
さて、こうして勤労者世帯の貯蓄額をみてきましたが、いかがですか?
今の自分の貯蓄を棚卸してみて、この家計調査のデータと比べてみると、自分の家がどのくらいの位置にいるのかが大まかにみえてくるのではないでしょうか?
あまり貯蓄をしていない人は少し焦ってもいいかもしれません。
ただし、繰り返しになりますが、他人と比べての大小よりは、自分の収入と将来設計を考えていくら貯蓄をするかということがいちばん大切であることをお忘れなく。
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