健康診断の結果で“暮らしと家計”は変えられる!今年から始める見直し術

今年も健康診断のシーズンがやってきました。結果の封筒を開けるときの、あの少しドキドキする感覚。A判定が並んでいるのを見てホッとしたり、いくつかの項目に付いたCやDの判定に、ちょっぴり心が曇ったり…。

そして、その結果票、見終わった後はどうしていますか?
「よかった」「少し気をつけなきゃ」と思った後、机の引き出しの奥にそっとしまってはいないでしょうか。

もしそうだとしたら、それはとてももったいないこと。なぜなら、健康診断の結果は、単なる「体の成績表」ではなく、「これからの暮らしと家計を、より良くするための設計図」だからです。

この記事では、健康診断の結果を「点」で捉えるのではなく、未来につながる「線」で捉え直すためのヒントをお届けします。健康になることが、どうしてお金の節約や資産形成につながるのか。その具体的な関係性を、一緒に見ていきましょう。

夏の終わり、秋の気配を感じる9月。今年こそ、診断結果を「暮らしを変えるアクションリスト」に変えてみませんか?

健康診断は“生活の棚卸し”のタイミング

年に一度の健康診断は、現在の自分の健康状態を知る貴重な機会であると同時に、これまでの生活習慣が体にどう影響しているかを客観的に見つめ直す絶好のチャンスです。

去年の診断結果、見返していますか?

まず試していただきたいのが、去年の結果票と今年の結果票を並べて見比べてみることです。

  • 去年より少し良くなった項目はありますか?
  • 逆に、去年は大丈夫だったのに、今年は数値が悪化している項目はありませんか?

体重や血圧、コレステロール値といった日々の積み重ねが反映されやすい項目を時系列で見ることで、この1年間の自分の頑張りや、少しおろそかになっていた部分が、数字として見えてきます。

「去年より少し歩くようにしたら、中性脂肪が減ったな」「最近、外食が増えたからか、血圧が少し上がっているかも…」。
このように、自分の行動と体の変化を結びつけて考えることが、生活改善の第一歩。健康診断は、そんな「生活の棚卸し」に最適なタイミングなのです。

見落としがちな“所見あり”の傾向と項目別ランキング

「要精密検査」や「要治療」と言われれば誰でも危機感を持ちますが、つい見過ごしてしまいがちなのが、「要経過観察」や「要再検査」といった、いわゆる“グレーゾーン”の判定です。

健康保険組合連合会が発表した2021年度のデータによると、健康診断を受けた人のうち、何らかの異常な点(所見)があった人の割合(有所見率)は、なんと57.6%にものぼります。つまり、2人に1人以上は、何かしらの注意信号が出ているのです。

特に所見が多い検査項目を見てみると、上位は以下のようになっています。

  1. 血中脂質(66.8%):LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪など
  2. 血圧(58.9%):高血圧
  3. 肝機能(46.6%):γ-GTPなど
  4. 血糖(41.3%):糖尿病リスク

(※カッコ内は、その検査項目で異常があった人のうち、再検査や治療が必要と判定された人の割合)

これらの項目は、自覚症状がないまま静かに進行する「生活習慣病」に直結します。「まだ大丈夫」と軽視せず、この段階で生活を見直すことが、将来の健康と家計を守る上で非常に重要になります。

【引用・参考情報】

  • 健康保険組合連合会「2021年度 健診・保健指導の現況」

気になる所見にどう向き合う?改善へのヒント

では、実際に気になる所見があった場合、私たちは何から始めればよいのでしょうか。特別なことではなく、日々の暮らしの中でできることから考えてみましょう。

よくある健康リスク別|生活習慣の見直しポイント

先ほどのランキング上位の項目について、厚生労働省が推奨する生活改善のポイントをいくつかご紹介します。

  • 血中脂質(コレステロール・中性脂肪)が気になる方
    • 食事: 肉の脂身やバターを控え、サバやイワシなどの青魚を増やす。食物繊維が豊富な野菜、きのこ、海藻類を積極的に摂る。
    • 運動: ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分以上、週3日以上行うのが目標。
  • 血圧が気になる方
    • 食事: まずは「減塩」。ラーメンのスープを飲み干さない、漬物を控えるなど、小さな工夫から。カリウムが豊富な野菜や果物は、塩分の排出を助けてくれます。
    • 生活: 禁煙し、お酒はほどほどに。ストレスを溜めず、十分な睡眠をとることも大切です。
  • 血糖値が気になる方
    • 食事: 食事の際は野菜から食べる「ベジファースト」を意識する。ジュースや加糖コーヒーなどの甘い飲み物を、水やお茶に変えるだけでも効果的です。
    • 運動: 食後に15分程度の軽い散歩をするなど、体を動かす習慣をつける。

これら全てを一度にやろうとすると大変です。まずは「これならできそう」と思えるものを一つだけ選んで、2週間続けてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

【引用・参考情報】

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(脂質異常症, 高血圧, 糖尿病)

お金をかけずにできる“暮らしの改善策”とは?

「健康のためには、お金がかかる」と思っていませんか?高価な健康食品やスポーツジムも一つの選択肢ですが、実は、お金をかけずにできることはたくさんあります。

  • 通勤や買い物で一駅手前から歩く(運動不足解消)
  • エレベーターやエスカレーターを階段に変える(手軽な筋トレ)
  • 飲み物を水やお茶にする(糖質オフ&飲料代の節約)
  • 外食を減らして自炊の回数を増やす(塩分・脂質コントロール&食費の節約)
  • 夜更かしをやめて、スマホを置いて早く寝る(睡眠の質向上)

注目したいのは、これらの改善策の多くが、健康につながると同時に「節約」にもなっている点です。健康的な習慣は、お財布にも優しい。この視点を持つと、生活改善へのモチベーションがさらに高まるかもしれません。

“健康=節約”という考え方が資産形成の第一歩

健康的な生活が節約につながることは分かりましたが、その関係はもっと深く、長期的な「資産形成」にも大きな影響を与えます。

不健康が招く出費|病気→通院→収入減のリスクも

もし生活習慣病が進行し、本格的な治療が必要になった場合、どれくらいの経済的負担がかかるのでしょうか。

例えば、高血圧や糖尿病で毎月通院し、薬を処方されると、医療費の自己負担(3割)だけでも年間数万円から十数万円の出費になります。これは毎年、継続的にかかり続けるコストです。
さらに、合併症などで入院や手術となれば、高額療養費制度があるとはいえ、一時的に大きな出費が必要になりますし、差額ベッド代などは自己負担です。

そして、見過ごせないのが「収入減」のリスク。病状によっては、これまで通りに働けなくなり、残業代が減ったり、時短勤務や休職を選択せざるを得なくなったりする可能性も。これは、将来の資産形成プランに大きな狂いを生じさせます。

予防行動で将来の医療費を減らす

厚生労働省の発表によると、日本人が一生涯で必要とする医療費は、平均で約2,700万円。そして、その半分以上(約55%)は、70歳以降にかかっています。

つまり、若い頃からの不摂生が積み重なり、高齢期に大きな医療費負担としてのしかかってくる、という構造です。

この事実を逆に捉えれば、「今のうちから健康に気を使うこと(予防行動)は、将来の医療費という大きな出費を抑える、最も確実で効果的な自己投資である」と言えます。

今日の100円のジュースを我慢して階段を上る。その小さな行動が、数十年後の数十万円、数百万円の医療費を節約することにつながっているかもしれない。そう考えると、日々の健康習慣が、未来の自分への最高の贈り物に思えてきませんか?

【引用・参考情報】

  • 厚生労働省「平成30年度 生涯医療費」

まとめ|診断結果を“お金と暮らしの行動”に変える9月に

健康診断の結果は、過去のあなたからの手紙であり、未来のあなたへの招待状です。
そこに書かれた数字や言葉をただ眺めるだけでなく、「自分と、自分の大切なお金を守るためのアクションリスト」として読み解いてみましょう。

  1. 結果を「見える化」する: 去年との比較で、自分の生活と体の変化の関係を知る。
  2. “グレーゾーン”を軽視しない: 将来の大きなリスクの芽だと捉え、生活改善のきっかけにする。
  3. お金をかけずに始める: 日常の小さな習慣を変えることが、健康と節約の両方につながる。
  4. 「予防」こそ最高の自己投資と知る: 今日の健康習慣が、未来の医療費という大きな負債を減らす。

過ごしやすい気候になる9月は、新しい習慣を始めるのにぴったりの季節です。
まずは一つ、あなたにできそうなことから。診断結果をきっかけに、暮らしと家計をより良い方向へ動かす一歩を、今日から踏み出してみませんか。

 

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