不妊治療の自己負担が減る!補助金の拡大と知っておくとトクする確定申告

2021年1月1日より、不妊治療にかかった費用を助成する補助金が手厚くなりました。

政府は2022年から不妊治療の健康保険適用を目指しており、健康保険適用が実現するまでの間の補助施策として、今回の補助金拡大が行われました。

たくさんの費用がかかる不妊治療。少しでも自己負担は減らしたいですよね。

そこで、拡大された補助金の詳細確定申告をすれば費用が還付されるかもしれない項目、そもそも不妊治療にかかる費用は実際にどれくらいか、まとめました。

補助金額と対象者が拡大!新・不妊治療補助金制度の詳細

新制度ではこうなる!

下表は不妊治療の補助金の新旧比較です。赤字部分は変更点です。

対象となる治療は新制度になっても変わらず体外受精および顕微授精のみ

不妊治療の流れとして下記のような例があります。補助金が適用されるのは人工授精の先の段階(赤字部分)です。

不妊検査 → タイミング治療・排卵誘発法 → 人口授精 → 体外受精・顕微授精

新制度は、2021年1月1日以降に終了した治療が対象となります。

2020年12月31日までに終了した治療は、下表の「旧制度」が適用されますのでご注意ください。

  旧制度 新制度
補助金額 1回15万円
(初回は30万円)
1回30万円
回数制限 生涯通算6回まで
(40歳以上
43歳未満は3回)
1子につき6回まで
(40歳以上43歳未満は
1子につき3回
対象者 所得制限 730万円未満
(夫婦合算)
所得制限なし
年齢 妻の年齢が43歳未満 妻の年齢が43歳未満
対象者の関係 治療開始時に婚姻関係のカップル 治療開始時に婚姻・事実婚関係のカップル

補助金額が大幅に増え、2子以降の不妊治療の場合でも1子につき6回まで補助金対象となりました。

また、所得制限の撤廃事実婚カップルも対象になったため、これまでより多くの人が利用できるようになりました。

ただし、治療開始時に婚姻をしていないカップルや事実婚の要件を満たしていないカップルは、申請日に婚姻していても補助金の対象とはなりません。

「事実婚」とは東京都の規定によると、下記のような条件があります。

  • 「1回の治療」の初日から申請日まで夫婦が継続して東京都(八王子市の区域を除く)に住民登録をしていること。
  • 住民票の続柄に夫(未届)、妻(未届)等の記載があり、他に法律上の配偶者がいないこと。

東京都福祉保健局「東京都特定不妊治療費助成」より引用

※「1回の治療」が終了した⽇:妊娠の確認(妊娠の有無は問わず)⽇もしくは、医師の判断によりやむを得ず治療を中⽌した⽇

申請方法

申請はお住いの自治体で行います。各自治体で申請方法や提出書類が異なるので、詳細はお住いの自治体にお問い合わせください。

ここでは、東京都の例をご紹介します。

◇申請期限

 「1回の治療」が終了した⽇の属する年度の末⽇まで

◇必要書類

  •  特定不妊治療費助成申請書
  •  特定不妊治療費助成事業受診等証明書
  •  住民票の写し
  •  戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
  •  申請者と配偶者それぞれの所得関係書類
  •  医療機関への支払いが確認できる領収書(指定医療機関が発行したもの)

◇申請方法

 東京都福祉保健局へ郵送(簡易書留や特定記録郵便等が望ましい)

補助金額の支給目安日

補助金がいつ振り込まれるのか、旧制度から変更ありませんが、気になりますよね。

支給目安日は各自治体によって異なります。

東京都の場合は、申請受理の約2か⽉後に承認・不承認の結果通知が送付され、結果通知の約1か⽉後に、指定⼝座に振り込まれます。

また、補助金額については各自治体で別途上乗せされる場合もあります。詳細はお住いの自治体にお問い合わせください。

参考:東京都福祉保健局「東京都特定不妊治療費助成」

確定申告で還付金を受け取れる可能性も!

不妊治療には医療費控除の対象となる費用が含まれているため、確定申告をすることで払いすぎた医療費が還付される可能性があります。

例えば、不妊治療にかかる下記のような費用が医療費控除の対象となります。

  • 検査費用
  • 人工授精等の治療費
  • 指圧やマッサージにかかる費用

また、セルフメディケーション税制を利用すれば、サプリメントや漢方薬等の購入費も対象商品であれば控除される可能性があります。

ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。

不妊治療にかかる費用に関する確定申告の詳細は、国税庁の下記ウェブサイトが参考になるでしょう。「確定申告電話相談センター」についても記載があります。

「税についての相談窓口」

気になる減税制度!セルフメディケーション税制とは?

不妊治療費用の経済的負担は?総額いくらかかる?

不妊治療には大きな金額がかかるといわれていますが、実際はどれくらい経済的負担がかかるのでしょうか。

下記は、医療用医薬品会社のメルクバイオファーマが不妊治療経験者を対象に行った調査*をまとめたものです。

*メルクバイオファーマ株式会社 妊活®および不妊治療に関する意識と実態調査」

不妊治療が経済的に負担な人は約9割

上記調査結果によると、不妊治療が経済的に負担になっていると答えた人は89.0%。実に約9割の人が負担であると回答しています。

また、経済的負担になっている項目のトップ5(複数回答)は、下記のような結果になりました。

  • 治療費(薬剤費以外)74.3%
  • 薬剤費 49.3%
  • 通院のための交通費・ガソリン費 29.0%
  • サプリメントにかかる費用 22.0%
  • 漢方にかかる費用 17.7%

治療費が負担になっている人は約75%。約4分の3の人が負担になっていることが分かりました。

治療費総額は約367万円!二次的出費の負担が大きい

同調査によると、不妊治療にかかった費用の総額は約367万円でした。

その内訳は主に、治療費と二次的出費

治療費が約130.6万円二次的出費が約236.5万円でした。

不妊治療経験者の方々が治療費以上に支払った「二次的出費」とはなんでしょうか。

それは、「サプリメントや漢方、気晴らしのための趣味や旅行、家事負担を減らすため」の出費。不妊治療はメンタル面も整える必要があるそうなので、このような費用がかかるのですね。

ちなみに、上記の総額には含めませんでしたが、通院のための交通費等も含めると、もっと大きな金額になります。同調査で「交通費・ガソリン費を負担と感じている人」が1か月にかけた交通費・ガソリン費は22,244円でした。

補助金の拡大や確定申告、健康保険の適用で、これらの経済的な負担が少しでも軽減されるといいですね。

※本記事は2021年2月現在の情報をもとに作成しています。


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