人気の資格! ファイナンシャルプランナーとは
9月9日(日)は、1級~3級ファイナンシャル・プランニング技能検定の試験日です。取得したい資格として安定した人気のあるファイナンシャルプランナー(以下FP)ですが、インターネットで検索するとトップに出てくるのは資格学校の情報で、基本的には「こんなに良い資格です!」とアピールする内容がほとんどでした。
しかし多くの人が気になるのは、資格を取得した人がどんな場所で活躍しているのか、就職や転職には有効なのか、年収はどのくらいか、といった点かと思いますので、それらについて調べてみます。
ちなみにFPの資格には、国家資格である「ファイナンシャル・プランニング技能士(3級・2級・1級)」と、民間資格である「AFP」「CFP」があります。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の試験に合格している人は、所定の研修を受けて登録すればAFPとして認定されます。AFP認定者は、上級資格であるCFPの受験資格が得られます。
金融財政事情研究所によると、2018年7月26日時点での資格取得者数は3級が855,661人、2級が421,338人、1級が20,510人。日本FP協会による認定者数は、2017年7月時点でAFP認定者が155,568人、CFP認定者が21,228人です。
ファイナンシャルプランナーだけができる仕事はない!?
「FPになると何ができるの?」という疑問を持っている人も多いと思いますが、実は、試験に合格すれば許可される業務というものはありません。
たとえば保険の契約をするには保険募集人資格が必要ですし、株式や投資信託の勧誘などには証券外務員資格が必要です。そのほか税務関係の業務には税理士資格が、法律に関することには弁護士資格が必要になります。これらの資格がないFPが専門業務を行うのは、法律で禁止されています。
では、そんなFPの資格を取るメリットは一体どこにあるのでしょうか。よく言われる点として、バランス感覚が挙げられます。試験では金融に関する6つの分野について学ばなければならないので、全般的な知識を身につけられるからです。自身の専門分野以外に関する包括的な知識は、顧客満足度の上昇に大きく貢献するでしょう。
日本FP協会が金融機関を対象に実施した調査でも、多くの人が「顧客の信頼を得られる」「個人のライフプランニングをアドバイスできる」といった点を、FP資格を評価する理由として挙げています。
ファイナンシャルプランナーの資格はどこで活かせる?
日本FP協会によると、AFP、CFP認定者の業種別属性は金融関連会社が56%(生命保険・損害保険会社23%、証券会社16%、不動産・住宅6%、銀行・金融11%)、事業会社が14%となっています。やはり金融関連会社での資格取得者が多いようです。
「Money Motto! 編集部」は事業会社にあたるでしょうか。編集部でも資格を持っている人間は多いですが、金融機関以外でFP資格を活かせている例と言えるかもしれません。
メガバンク、地方銀行、信金などを問わず、金融機関の多くがFP資格の取得を推奨しています。就職・転職に一定のメリットがある資格と言って良さそうです。
ただし評価が高いのはAFPより上の資格なので、これらの資格取得を考えている学生や会社員は、他者と差をつけるためにも、ぜひCFPや1級ファイナンシャル・プランニング技能士にトライしてもらいたいと思います。
独立系ファイナンシャルプランナーの現状
野村総合研究所は、独立系FPは日本に約30,000人いると推計しています。この数字には、税理士や会計士などを本業とする者も含みます。彼らに実施したアンケート調査では、上位25%の年収は1,000万円以上なのに対して下位25%が100万円未満と、稼ぎにかなりの差がある結果でした。
上位層には本業が別にある者も含まれるため、完全な独立系FPで高い年収を得ている人数は、かなり少数だと言えるでしょう。
独立系FPの収益構造を見てみると、保険契約の販売手数料が35%で主たる収益源となっています。次いで、有価証券や不動産の販売手数料が25%、個人・法人を問わず顧問料で稼いでいる割合は14%で、相談料やプラン作成料などいわゆる「FP業」で収益を上げている人は、わずかに6%のみでした。
報告書では、方向転換が起きれば日本のFPビジネスは大きく様変わりする可能性があるとしていますが、現状では保険や金融商品を販売することで生計を立てている人が大半のようです。独立系FPは顧客のほとんどが紹介のため、稼ぎは経験年数に比例し、資格取得後すぐに独立して収益をあげ続けると言うのは難しそうです。
一方、FPの本場アメリカでは、商品の販売手数料に依存する方向から、資産形成に関する相談やアドバイスに対する報酬を主な収益とする方向に転換しています。これは「FPは資産形成のプロ」と広く認知されている、アメリカならではの状況と言えます。
アメリカではお抱え弁護士に相談料を払うのと同じように、どういった保険が必要かまたは必要でないか、退職金をどう運用すれば安定した老後を迎えていけるか、などをFPに相談しその対価を支払います。もしくは実際に資産の運用を任せ、資産の例えば1%などをフィーとして支払ったりするようです。日本とはだいぶ役割が違いますね。
現状、日本におけるFP資格の活かし方としては、まず金融系を主とした企業に所属して、業務に知識を役立てるのが基本となりそうです。また独立を考える場合は、保険や金融商品の販売手数料で収益をあげるか、士業とのダブルライセンスとして活用するのが現実的です。
しかしいずれは、日本でもアメリカと同じような認識が浸透し、FPの社会的な立場が上がっていけばいいなと思っています。
終わりに
金融リテラシーが低いと言われる日本ですが、FP資格などをきっかけに金融全般についての知識や興味を持つ人が増えることを期待しています。
そして、よく分からないまま知り合いから生命保険に加入した、深く考えずディーラーで提出された自動車保険に加入した、「この商品が人気」という証券マンに勧められ複雑な仕組みの金融商品に手を出した、組めるだけの高額ローンを組んで不動産業者が勧める家を購入した、といった『お金の失敗』が少なくなることを願っています。
参考: 野村総合研究所:本邦における独立系FPのビジネス実態
(あべし)
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