遺産を相続できるのはどんな人?

遺産相続

まずは基本から

現在、向井理さん主演の「遺産争族」というドラマが放送されています。資産家の河村家に婿入りした佐藤育夫(向井さん)が相続争いに巻き込まれる?参戦する?様子が描かれていて、この先どうなるかが気になります。

また、この「遺産争族」に限らず、ドラマや映画、小説の中では、家族同士の相続争いが描かれることがあります。そして現実の世界でも、残念ながら相続でもめてしまうケースはよくあるそうです。しかも、特に資産家などではなく一般的な家庭であっても、意外に相続でトラブルが起きてしまうらしいです。

本来、正式な遺言があればそれに従うことになりますし、遺言がなければ民法の規定にそって遺産を分割するのが原則です。

しかし法律で決まっているとはいえ、例えば、兄弟のうちの一人が親の面倒をずっとみていたといった事情があれば、それに対する寄与分をどうするの?ということになりますし、遺産の大部分が住宅で、そこに相続人の一人が住んでいて分割が難しいということもあります。遺産相続は複雑な事情が絡み合ってきますので、法律通りにすんなりといかないということになってくるのもわかります。

ただし、それでも遺産相続において基本となる考えはやはり法定相続分です。法律的に公平な相続分がいくらであるかをお互いに理解していてはじめて、いろいろな事情を加味した話し合いが始まるといえます。

まずは、法定相続がどうなっているかをしっかりおさえておくようにしましょう。

民法による規定

民法による相続人の範囲とその相続分は以下のようになります。

相続人の範囲

死亡した人に配偶者がいる場合は、配偶者は必ず相続人になります。

そして配偶者以外で相続人になる人は次のように優先順位が決まっています。

○第1順位
死亡した人の子。
なお、死亡した人の子が既に死亡している場合で、その子に子(死亡した人からみたら孫)がいるときは子の代わりに孫が相続人になります。

○第2順位 ※第1順位の相続人がいない場合に相続人になります
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)。
死亡した人に子供がいない場合は、父母や祖父母など上の世代にさかのぼっていくことになります。なお、父または母がいる場合は、祖父母がいても祖父母は相続人になりません。

○第3順位 ※第1、2順位の相続人がいない場合に相続人になります
死亡した人の兄弟姉妹。
なお、兄弟姉妹が既に死亡している場合で、その兄弟姉妹に子がいるときは子が代わりに相続人になります。

<民法による相続人の範囲>

配偶者 [第1順位] 子
[第2順位] 直系尊属(父母、祖父母等)
[第3順位] 兄弟姉妹

配偶者と第○順位という相続人がいて少しわかりにくいですが、配偶者がいる場合は、配偶者と第1~3順位の一番順位が高い人たちが相続人となります。配偶者がいない場合は、第1~3順位の一番順位が高い人たちが相続人となります。

ちなみに、もし配偶者も第1~3順位の人も誰もいなかった場合、死亡した人の遺産は国のものとなります。
※ただし遺言があれば遺言に従います。また特別な縁故のある人(内縁の妻や夫、献身的に療養介護していた人など)の申し出があり家庭裁判所に認められれば、その方が遺産を受け取れます。

法定相続分

上記、相続人の範囲に応じてそれぞれの相続分は以下のようになります。

○配偶者と子が相続人である場合
配偶者が1/2。子が1/2(複数の子がいる場合は1/2を均等に分割)

○配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者が2/3。直系尊属が1/3(複数の直系尊属がいる場合は1/3を均等に分割)

○配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4。兄弟姉妹が1/4(複数の兄弟姉妹がいる場合は1/4を均等に分割)

なお、相続人が配偶者のみの場合は配偶者がすべて相続し、配偶者がいない場合は最も順位の高い人がすべて相続(複数人なら均等に分割)します。

<法定相続分>

配偶者のみ 配偶者がすべて
配偶者と第1順位 配偶者1/2、子1/2
配偶者と第2順位 配偶者2/3、直系尊属1/3
配偶者と第3順位 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
配偶者がいない 最上位者がすべて

配偶者の相続が重視されていて、一緒に相続する人の順位が下がっていくほど、より配偶者の相続分が多くなるように決まっています。

河村家のケースはどうなる?

それでは、ドラマ「遺産争族」のケースに法定相続をあてはめるとどうなるかを見てみましょう。

<河村家の相関図>

河村家の相関図3

この家系図からすると、もし河村龍太郎(伊東四朗)さんが死亡した場合、民法による相続人は、配偶者が既に亡くなっていますので、第1順位である龍太郎さんの子、陽子(余貴美子)さん、月子(室井茂)さん、凛子(板谷由夏)さんの3人となります。

ところで、11月5日の放送では、龍太郎さんが育生(向井理)さんに自分の養子になってほしいと申し出ていました。今後、実際に養子になるかどうかはわかりませんが、もし育生さんが龍太郎さんの養子となり、その後に龍太郎さんが死亡したら、法律上の相続人は、陽子さん、月子さん、凛子さん、育生さんの4人となります。

実子である3姉妹は、遺産がほしくて既にそわそわした状態ですが、育生さんが養子になると彼女たちの取り分が減ってしまうことになります。ますます相続争いが複雑になる要素が加わってくることになりそうです。

ちなみに、このドラマでは、龍太郎さんは孫の婿を養子にすることを考えていますが、現実の世界でも、相続対策として孫を養子にするというケースがあります。

その場合のメリットとしては、法定相続人が増えることで相続税の基礎控除の額が増えること、通常は、親から孫にまで遺産が相続されるには、複数回の相続が発生しますが、一度の相続で孫に遺産を譲り渡せることで相続税のかかる回数を減らせることなどがあります。

ドラマの相続争いは見ていて面白いですが、当事者にはなりたくないですね。そのためには、きちんとした遺言を残して意志表示をしておくことが大切ですし、家族同士ができるだけ客観性を持って思いやりあいながら話し合うように心がけたいところです。


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