政府は令和5年5月16日、「物価問題に関する関係閣僚会議」を開き、電力大手7社が申請していた家庭向け電気料金の値上げ幅を確定する査定方針を了承しました。
それにともない、6月1日から一部の電力会社を除いて、標準的な過程の電気代が14~42%値上がりしました。
そこで本記事では、なぜこの時期に電気代が上がったのか、その原因や電気代の値上げに対する節約術をご紹介します。家計の負担を軽減し、快適な生活を送るために、是非参考にしてみてください。
電気代値上げの原因と電力会社ごとの値上げ幅
電気代は、私たちの生活において欠かせないものであり、家庭での使用量に応じて毎月の支払いが必要となります。しかし、最近では電気代の値上げが相次いでおり、家計にとって大きな負担となっています。
電気代の値上げの原因は、主に以下の2つが挙げられます。
原因1:原材料価格の上昇
日本の電力を生み出す電源構成は、いわゆる火力発電が70%以上を占めており、次いで太陽光(9.2%)、水力(7.6%)、原発(5.6%)、バイオマス(3.7%)、風力(0.9%)、地熱(0.3%)と圧倒的に火力発電が占めています。
その火力発電のために必要となるのが天然ガス(51.1%)、石炭(40.6%)、石油(8.3%)で、約9割を占める天然ガスや石炭の価格が上昇しているため、それに伴い発電コストが上昇しています。
それ以外にも、円安による天然ガスや石炭の輸入価格高騰や、世界的な石炭から天然ガスへの「脱炭素」の流れによる天然ガスの需要増による価格上昇、ウクライナ情勢によるロシアからの化石燃料の輸出制限などにより、電気代の値上がりに影響が出ています。
原因2:原子力発電所の閉鎖
東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、全国的に原子力発電所が閉鎖されています。そのため、代替として火力発電が増えたことにより、電気代が上昇しています。
また、原子力発電所の閉鎖だけでなく、火力発電所も規模を縮小しています。採算の合わない古い火力発電所を停止したり、再生可能エネルギーへの転換による火力発電所の縮小も要因のひとつです。
電力会社ごとの値上げ幅
値上げをするのは家庭向けの規制料金で、経済産業省の認可を経てから実施されました。当初各電力会社が申請していた値上げ幅よりも圧縮されたものとなりますが、それでも消費者視点で見ると安心できるものではないのではないでしょうか。
電力会社名 | 値上げ幅 |
北海道 | 21% |
東北 | 24% |
東京 | 14% |
北陸 | 42% |
中国 | 29% |
四国 | 25% |
沖縄 | 38% |
中部電力・関西電力・九州電力は原発の稼働により他の電力会社よりも余力があり、経営への影響が少ないことなどから値上げをしない方針です。
電気代の節約術1: 節電を心掛ける
まず最初におすすめするのは、節電を心掛けることです。節電することで、使用量が減り、それに伴い支払う電気代も減ることができます。以下に、具体的な節電の方法を紹介します。
無駄な照明をこまめに消す
家の中では、照明による電力消費が大きな割合を占めます。照明には、LED電球や省エネ電球を使うことで消費電力を削減することができます。また、不要な照明は消すように心掛けましょう。
使わない家電製品はコンセントを抜く
家電製品を使う際には、必要以上に長時間稼働させないようにしましょう。また、使わないときはコンセントを抜くなどの工夫も有効です。
エアコンの設定温度をする
エアコンは、家庭で最も電力を消費する家電のひとつです。エアコンの設定温度を1℃下げるだけで、10%ほどの電気を節約できると言われています。夏場は、28℃程度に設定することで、快適な室温を保ちつつ節電することができます。
電気代の安い時間帯に利用する
電気代は、使用する時間帯によって料金が変わる場合があります。通常、夜間や早朝は電気代が安い傾向にあります。洗濯機や食器洗い機などの家電は、電気代が安い時間帯に使用するようにしましょう。
電気代の節約術2: 家電の取り替えを検討する
古い家電製品は、新しい製品に比べて消費電力が多く、電気代の負担が大きくなってしまいます。
最新の省エネルギー家電に取り替えることで、電気代を削減することができます。以下に、おすすめの省エネルギー家電を紹介します。
エアコン
最新のエアコンは、省エネルギー性能が高く、消費電力を削減することができます。また、スマートフォンやタブレットから操作できるものもあります。
冷蔵庫
冷蔵庫は、一日中稼働しているため、古い製品は電気代の負担が大きくなります。最新の冷蔵庫は、省エネルギー性能が高く、消費電力を削減することができます。
照明
LED電球や省エネ電球に取り替えることで、消費電力を削減することができます。
電気代の節約術3: 太陽光発電を導入する
最近では、太陽光発電を導入する家庭が増えてきています。太陽光発電を導入することで、電気代を大幅に削減することができます。また、環境にも優しいので、自分たちが住む地球に貢献することができます。
太陽光発電の導入には初期費用がかかりますが、長期的に見ると電気代の節約ができますし、政府の補助金や税制優遇措置があるため、導入しやすくなっています。
電気代・ガス代などの光熱費に対する補助事業
ロシアのウクライナ侵攻により火力発電などの燃料価格が高騰したことで光熱費が上がって苦労する人が多くいることから、政府は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を令和5年1月から始めました。
しかし補助期間は短期間で、何度も延長されてきましたが、令和6年の5月使用分をもって「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は終了しました。
一度は電気代・ガス代の補助事業は終了したかに思えましたが、6月に岸田首相の記者会見にて、新たな補助事業が開始されました。
どれくらいの補助がされるかというと、令和6年8月、9月の使用分は、主に家庭向けの低圧電力で契約されている場合、支援金額は1kWhあたり4.0円です。
主に企業向けの高圧電力で契約されている場合は、1kWhあたり3.5円の補助金額となります。
都市ガスは1m3あたり17.5円の補助金額となります。
具体的にどれくらい光熱費が補助されるかというと、一般的な4人家族で1か月で1600~2000円程度が補助される計算となります。
この補助金は令和6年10月使用分までと限定的で、それ以降も延長されるかどうかは不透明です。
まとめ
家庭でできる節約術を実践することで、生活費の負担を軽減することができます。また、節約することは環境にも良い影響を与えます。
補助金で多少の節約ができるかもしれませんが、今後も、自分でできる節約術をさらに実践して、快適な生活と地球環境の保護に取り組んでいきましょう。
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最終更新日:2024年9月7日
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